「化学調味料」という呼称は、昭和30年代にNHKが商標回避の目的(「味の素」が商標であるため)使用したのが最初といわれている[2]。業界団体である日本うま味調味料協会自身、1960年代後半から1985年まで「日本化学調味料工業協会」と名乗っていた[3]。
しかし1980年代、グルメブームとともに化学調味料に対する批判が高まる中、現在の日本うま味調味料協会はその負のイメージの転換を図るため「うま味調味料」という語を造り、その使用を提唱した。協会はこの理由として、味覚としてのうま味が世界的に認められたこと、現在は天然原料による発酵法で製造されているため「化学」という語がもはや製品の特性を正確に表していないこと、「化学調味料」よりも「うま味調味料」とした方が、「料理にうま味を付与する」という製品の特性を良く表す、などを挙げている[4]。
その後、1990年に日本標準商品分類(現総務省)[5]が、1993年に計量法(経済産業省)[6]が、2002年に日本標準産業分類(総務省)[7]が「うま味調味料」の表記を採用した。現在では各種法令等でもこちらの表記が使われている[2]。報道においては、共同通信社『記者ハンドブック』、NHK『新用字用語辞典』などが「うま味調味料」の表記を採用している。辞書においては『大辞泉』増補・新装版が「化学調味料」、『大辞林』第2版と『広辞苑』第5版が「旨(うま)味調味料」を見出し語としている。
しかし、「化学調味料」という言葉は一般に浸透しているため、現在でもその語が使われることが多い。行政、業界団体やマスコミ、消費者団体や生協などでも表記は様々であり、一般にどちらの語がどのような割合で使われているかに関しては、統計がないので明らかになっていない。
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グルタミン酸ナトリウムを生成する際には、発酵法であってもグルタミン酸を水酸化ナトリウムで中和する工程が含まれる。これを「化学的」とする見方もある。水酸化ナトリウムは中和目的での食品への使用が認められている。
日本における加工食品の原材料名としては、調味料として「調味料(アミノ酸等)」などと表示される。それ以外の目的(栄養目的等)では「グルタミン酸ナトリウム」あるいは単に「グルタミン酸Na」と表記される場合が多い。
「化学調味料無使用」という表記
ラーメンブームが起きている2000年頃から、ラーメン専門店ではうま味調味料を使わないことを「無化調(むかちょう)」と呼び、「化学調味料」を使っていないことを宣伝材料のひとつとして扱っている。 調味料や他の食品にも「化学調味料無使用(無添加)」といった語が使われる傾向が見られる。
しかし日本うま味調味料協会や日本食品添加物協会は、これらの語は無使用の商品の方が優れているようなイメージを消費者に与えかねない、という見解を示している[4]が、これは企業の製品の価値を下げないために主張しているとも考えられ、どの意見が正しいと一概には言い切れない。
また、「化学調味料無使用」という表記は、単に「うま味調味料」を使用しなければ標榜できるため、実際にはタンパク加水分解物や酵母エキスのような他の食品が代用されている場合がある。これらには原料を塩酸で加水分解反応を起こしたものが含まれ[8] [9]、かえって「化学的」な食品を摂取してしまう可能性がある。特に、アミノ酸類に目立った毒性が発見されていないのに対し、ある種のタンパク加水分解物には微量ではあるが発癌性物質と疑われているクロロプロパノール類を含むことが分かっており、「化学調味料無使用」すなわち安全であるとは限らない。また、大量に使うと味のバランスが崩れるのは他の調味料と同じであるため食材本来の自然なうま味を大切にしているかどうかといったことの判断材料にはならない。なおこれらは「食品」であると見なされているため、「無添加」表示の食品についても同様の問題を抱えている。